写真・文/岩瀬孝文 photo & Text by Yoshifumi Iwase
岡部凛大郎(江別第三中)
『魅惑のワイドスタンス』
これまでのV字スタイルから、いよいよテールを広く開いて進むワイドスタンスがジャンプの主流になってきたようだ。
それもラージヒルやフライングでロングジャンプを記録する、スロベニア選手の空中におけるシルエットを見てみるとよくわかる。
以前から、この技術に着目していた札幌ジャンプ少年団では、中学生の選手をスロベニアのプラニツァへ送り込むことを決断。2023世界選手権の開催地で合宿を組み、1月の1週間と少しの期間、現地で大らかに飛ばせてみた。
そうして、同じ頃にプラニツァで練習していたスロベニアの若手選手らと一緒になって飛んでいるうちに、飛距離を出せるワイドスタンスの真似をしてみて、そのコツを覚え、工夫を凝らして自分のモノにして帰国した。
中学生の意欲あふれた選手達だ。しかも飲み込みとアレンジが早いのは、いつも自然体な子供達であるから、でもあった。
そして2月の雪印メグミルク杯では、スキーのテールを開いた岡部凛大郎(江別第三中)が132mを飛んで優勝。さらには雪印カツゲン杯においても勝利を飾った。
自宅では、地元日本で開催された1998長野五輪の金メダリストで、長距離飛行の名手岡部孝信さんから、テールの開きとジャンプのバランスをよく考えてみるようにと指導された。そこであれこれと試行錯誤を繰り返し、自分に好ましいスキーの開きを会得しての快挙となった。
「父と相談しながら、ひとつずつジャンプを作り上げているところです」
風の強弱や風向きによっては、たまに失敗ジャンプもあるようだが、勝者としてのメディアの受け答えもしっかりと、この春からはジャンプの名門下川商高へと進学してさらに技術の研鑽を積んでいくことになる。
2023年3月、札幌・宮の森での宮様ジャンプ大会に出場した際の岡部凛大郎